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8月18日に発売された「ラジオマニア2025」に、「FMエアチェック黄金時代のアナログチューナーを甦らせる! TEF6686を使用したアナログライクなFMチューナーの製作」という記事を書きました。

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昨今のオーディオ界隈の動向で驚くのが「アナログ・メディア」の完全復活です。タワレコなどの大手ショップでは、アナログ・レコード売り場はどんどん拡張されて大変な活気です。また加えてレコードを中心に扱うユニークな個人店も非常に増えており、オーディオメーカーからはプレーヤーのハード新製品も続々と発売され、好循環を産んでいます。
さらにカセットテープも復活の兆しを見せています。大御所や新人でもカセットで新譜や旧譜のリマスターをカセットでリリースしたり、SONYウオークマンの再来を目指したような、高品位なポータブルプレーヤーが新製品で発売されており驚くばかりです。こういった背景もあってか当時のアナログプレーヤーやカセットデッキの高級機は中古市場でも大人気で、異常な高値で取引されています。

ところでこれらアナログメディアの全盛期である70年代から80年代にかけては、いわゆる「FMエアチェック」の黄金時代でした。レコードプレーヤー、カセットデッキに加えてFMチューナが極めて重要な位置を占めていて、各メーカーが鎬を削り、魅力的な製品が多数発売されていました。
当方も当時こういったFMチューナを入手し、カセットに音楽番組を録音(所謂エアチェック)して楽しんでいました。しかしながら現代においてはこの黄金時代のFMチューナーは、このアナログブームの蚊帳の外にあるといえます。中古市場では古いFMチューナーは全く人気がなく二束三文で投げ売りされています。これはなぜなのでしょうか?

まず一番の理由としては、FM放送が95MHzにワイドバンドされたことが挙げられます。これはAM放送をFMに移行する目的で拡張されたものですが、古いFMチューナーは90MHzまでしか対応していないため、このワイドバンドFMの局を受信することができません。民放の主要局がこのバンドで放送されているので、これらが聞けないのは大きなマイナスポイントです。あと古いアナログチューナーは経年劣化により周波数ずれや感度低下、音質劣化などが起こっており、再調整や修理が必要になる場合が非常に多いです。この調整や修理には専門技術に加えて各種の測定器が必要になり、これは非常に敷居が高く困難を伴います。

しかし当時のアナログチューナーはデザイン性に優れ、横型のスケールや重みのあるノブは抜群のチューニング感覚を持っています。そしてスケールやメーター類は美しい照明が施されており大変魅力的です。例えば下の写真は1974年頃に発売されたSONYのST-5150Dで、アナログのFM/AMチューナーです。当時のSONYの勢いを感じさせるクリーンかつ重厚なデザインで、ガッチリとした筐体に分厚いアルミのフロントパネルが取り付けられています。大ぶりなスイッチやノブのカチッとしたタッチが非常に心地よいです。特にグリーンの照明で浮かび上がる周波数スケールやメーターが非常に美しく、チューニング動作の意気が上がります。

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今回は1976年に発売されたヤマハのアナログチューナー:CT-400の中身を、最新のデジタルDSPチップ:TEF6686に置き換えを行ってみました。CT-400は分厚いシルバーのフロントパネルに白木木目のウッドケースという美しいデザインで、北欧やミッドセンチュリー家具のようなハイセンスな佇まいがあります。

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このCT-400のデザインを変えることなく、中身のみをTEF6686に置き換えを行いました。実際の改版にあたっては、以下の条件を設定し対策を行いました。

■チューニングは既存のダイヤル・スケール、ノブを使用し、アナログ感覚で行える。
 →オリジナルのバリコンを精密ポテンショメーターに置き換え、高精度A/Dコンバーターで回転変化を電圧値で読み取り周波数設定を行う。

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■外観デザインには変更を加えない。パネルに新たなスイッチやツマミは設けない。TEF6686の先進機能(マルチパスキャンセル、IFバンド幅可変、チャネルイコライザーなど)を利用できるようにする。
 →既存のつまみ部分に新たな設定機能を割り当てる。

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■上記2つを維持したまま、>90MHz以上のワイドバンドFMに対応する。
 →+10MHzの周波数ワープ機能を設けてワイドFMに対応する

これらの機能は、Arduino Nanoのソフトウェアにて実現しています。受信周波数や信号レベル、S/N、マルチパス強度などはセンターメーターを置き換えた液晶ディスプレー上に表示されます。TEF6686の付加機能(マルチパスキャンセルなど)や+10MHz周波数ワープ機能の設定状態も表示されます。

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ハードウェアは1枚のユニバーサルボード上に実装しています。

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これらの改版によって、デザイン性に優れたFMエアチェック黄金時代のビンテージアナログチューナー:ヤマハCT-400が、現代のデジタルDSPチューナーとして蘇りました。
アナログの大型ノブ、周波数スケールによるチューニング動作はそのままに、デジタルによる安定した高精度のチューニングが実現でき、ワイドFMにも対応できました。さらにマルチパス抑制など、高度な機能も現状のデザイン・ユーザーインターフェースを壊すことなく設定・利用できています。

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記事では当時のアナログチューナの魅力や、チューニングシステムの詳細やハードウェア、ソフトウェアの解説を行なっています。

「ラジオマニア2025」は全国書店、アマゾン等で販売されています。
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2025年1月29日に発売された「ラジオ受信バイブル2025」に、「TEF6686を使ったFMチューナーの製作」という自作記事を書きました。

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TEF6686はNXP Semiconductorsより発売されている、主にハイエンド・カーオーディオ/ホームオーディオ用をターゲットにしたラジオICで、このチップが搭載されたラジオのレビューでその受信性能や高機能が高く評価され注目されています。

内部はLow-IF構成のDSPを使用したフル・デジタル処理で行われており、I2Cインターフェースからの制御で設定・動作を行います。特にデジタル処理による、FM向けマルチパス抑制機能やチャネル・イコライザーを実装しており、これらの機能はメーカー製品では超ハイエンド製品(20万円以上〜)でのみサポートされているものです。

日本のFM波はアナログ変調方式で、その音質劣化の要因として挙げられているのがマルチパスによる影響です。これは放送アンテナからの電波がさまざまなルートを通って時間遅れを伴って受信機に到達し、それらが合成されることによって不快な歪みを発生するものです。これを避けるには指向性の高い外部アンテナを使用する方法がありますが、近年はDSPのFIRフィルターでデジタル的にこれをキャンセルする手法が取り入れられています。

本機はこのTEF6686の性能を確かめるために、単体で動作するボックス型のFMチューナーにまとめたものです。TEF6686チップと外部部品をシールドケースに実装したモジュールを入手することが可能で、これをArduino Nanoのコントローラーでソフトウェア制御を行なっています。

ケースは無印良品のモップケースを使用し、前面パネルにはノイズの少ない液晶表示部とアナログのシグナルメーターを具備しています。この他マルチパス・チャネルイコライザーの設定ボタンと機能表示LEDがあり、自由な組み合わせでこれらの機能をON/OFFできます。

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液晶表示部には選局した局名・周波数情報のほか、信号強度、ノイズ、マルチパス強度の表示がされます。TEF6686はIFフィルターのバンド幅を56 KHz から 311 KHz の範囲で16 種類も設定可能です。前面パネルのボタンで設定した帯域幅は液晶上部右に表示されます。

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記事ではハードウェアとその実装方法、ソフトウェアの解説を行なっています。最後にマルチパス抑制機能の評価として、NHK-FM時報880Hzのトーンを受信してWaveSpectraによる歪率測定結果を掲載しています。

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本機は当方が今まで作成したラジオ・チューナーの中でも非常に高い品位の再生音質が得られています。今回はFM受信専用ですが、本チップを使用したAM・短波のDX受信に特化した通信型受信機の作成も検討しています。

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三才ブックスより発売された「ラジオマニア2024」に、「レトロラジオを現代風にアレンジ! 縦型FMホームラジオの製作」という記事を書きました。下の写真が作製したラジオの外観です。

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 少し前になりますが、2021年にNHKで放映された「カムカムエヴリバディ」という朝ドラがありました。祖母、母、娘の3代のヒロイン全てがラジオで英語講座を聞いて英会話を学び、その時代にふさわしいラジオ受信機が小道具でフィーチャーされるという、ラジオ好きにはたまらないドラマでした。特に初代ヒロイン安子(上白石萌音)が使用したラジオが縦型の特徴的な外観をしており、俗称でビリケン型とかミゼット型と呼ばれているものです。

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 この縦型のラジオは海外でも多く作られ、例えばオランダのPhilips社のものがあります。

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 このような縦型のデザインは非常に魅力的ですが、それらを現代風にアレンジして、モダンな外観を持ったFMラジオを作製してみました。見た目は山型のお家のようなデザインで、カラーLCDと明るい色味の2つのツマミを前面に配置しています。スピーカーは上部に配置しており、10cm口径の大きめなプルレンジスピーカを使用し、豊かな聞きやすい再生音を目指しています。

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 実は今回使用したケースは、某インテリアショップの「あるもの」を利用しています。非常に質感の高いプラスチックが使われているので、外部にネジなどが露出しないよう各部の実装を工夫しています。
(ケースに何が使われたかはぜひ本誌記事でご確認ください)

 FMラジオ部には、過去に使用して実績のあるシリアル制御タイプのDSPモジュールを使用しています。従来コントローラーにはLCD一体型のM5Stackを利用してきましたが、半導体不足後に価格が大幅に上昇したため、今回は秋月電子のRP2040コントローラ、2.0インチカラーLCDなど個別部品で構成しています。これによりコストをM5Stackの1/3以下に抑えています。
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 記事ではハードウェアの回路構成とArduinoによるソフトウェアの作製・動作解説を行っています。
オールカラーでの掲載なので、特殊な実装方法なども確認が容易になっております。
 昨今、市販のラジオ、オーディオ機器は特徴的な変わったデザインの物は少なくなっており、寂しい限りです。DSPチップの出現によりラジオの自作は昔より遥かに容易になっています。またコントローラーも低価格かつ、開発ツールなどが全て無料で入手できます。自作でなら自分の好きなデザインで作製できます。本記事が皆様のラジオ・オーディオ機器自作の一助になれば幸いです。

1月30日に発売された「ラジオ受信バイブル2024」に「FM受信用フォークヘンテナ の製作」という記事を書きました。

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FM放送を良い状態で受信するには、外部アンテナを使用する事が有効です。しかし昨今の温暖化による大型台風の増加などの厳しい気象条件を見るに、屋外に高性能な大型アンテナを設置することは倒壊などのリスクが懸念されます。

そこで気軽にベランダなどに設置できて、台風の時などは簡単に撤収できたり、または室内に設置してホイップや簡易フィーダーアンテナを上回る受信性能が得られるようなアンテナは無いものか?

ということで着目したのが、アマチュア無線用アンテナとして定評のあるヘンテナを半分に切って小型化した「フォークヘンテナ 」です。

当方は少年時代にアマチュア無線を始めましたが、最初は50MHz:6mバンドで入門しました。その頃ちょうどこのヘンテナが50MHz用アンテナとしてブームになり、自作して試してみたのですが、噂に違わぬ性能に驚いたことをよく覚えています。今回FM用の受信アンテナを検討する際、「そういえばヘンテナってあったよな?」と当時の記憶が蘇って来ました。フォークヘンテナ はこのヘンテナの変形型で、外観がフォークのように見えることからこの名前が付けられています。

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下の写真が室内に設置したフォークヘンテナ で、長さ90cm、幅60cmの大きさになります。重量は350gと非常に軽量で壁面にも簡単に設置できます。

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ヘンテナ系のアンテナは給電エレメントを上下させて周波数のマッチングを取ります。簡単に調整移動や取り外しができるように接続部にテイシン電機の大電流用の充電クリップ:C-531S-4Bを使用してみました。

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これにより調整が簡単に行え、またすぐに分解できて釣竿ケースなどにコンパクトに収納できるので移動運用にも最適です。

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今回このアンテナの調整、性能評価にnano VNA(ベクトル・ネットワーク・アナライザー)をフル活用しました。VNAではS11、SWRやインピーダンスを周波数スイープして測定できます。これにより各周波数の最適な給電エレメント位置を簡単に見つける事が可能になります。

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VNAによる評価では、まずこのフォークヘンテナがインピーダンス75Ω系である事を確認しました。これはFMチューナーが75Ω入力であることから好都合です。しかしVNAは50Ω系の測定器なので、50/75Ω変換器を自作し、75Ωの終端器でキャリブレーションを行い最終的な評価を行いました。

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記事では給電エレメント位置と最適周波数、SWR値のグラフを掲載していますので、VNAをお持ちでない方でもこのグラフで給電エレメントの最適位置を確認できます。

最後に過去に評価を行った、4エレ八木、ダイポール、室内フィード、ホイップアンテナとの受信性能比較を行った結果をまとめています。今回作成したフォークヘンテナはこれらのアンテナと比べて、非常に良好な結果が得られています。ご興味のある方はぜひ記事をご確認頂ければと思います。

バイブル記事

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最近Youtubeのオーディオ自作界隈で話題なのが、自作派の友:秋月電子の「広帯域用スピーカーユニット10cm 8Ω 10W」です。

https://akizukidenshi.com/catalog/g/gP-18081/

これは日本の北日本音響のフルレンジスピーカユニットで、なんと価格が1個:330円で販売されています。ただフレームはペラペラの鉄板で、マグネットも小さく、こんなんでまともな音が出るのか?という見た目ですが、これが驚く事に他社の高級ユニットに勝るとも劣らない良音質をたたき出します。

(参考動画:宮甚商店)
https://youtu.be/D9Dm0LMRK6s?si=0Th_eO-YQnGkH9M1

ラジオ用のスピーカーとしても良さそうなんで、秋月に行ったついでに2個買っておきました。それで作ってみたのが写真の黒い箱のスピーカー「HORATONE」です。

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オーディオ好きまたは音楽制作関連の方はご存知かもしれませんが、スタジオのモニターで有名な「AURATONE」というスピーカがあります。当方の知人が愛用していて音を聞かせてもらったことがあるのですが、非常に定位・バランスや鳴りが良くて驚きました。

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https://umbrella-company.jp/products/5c-super-sound-cube/

ということでこの秋月ユニットを使って作製したのが、世界の名器オーラトーンのパチモノ:ホーラトーンです。

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ラテン系ヨーロッパ言語では、「H」の音は発音しません。例えば車やサッカー選手の「HONDA」は「オンダ」と発音します。ということで、HORATONEは「(ホ)オーラトーン」と発音していただければ幸いですヽ(^o^)丿
もちろんパチモノということで、日本語の「ホラ」にもひっかけています。

実は当方は木工が大の苦手で、木材を正確に切ったり貼ったりするのが全くだめだめです。ということで今回はカインズで見つけたKumimoku Sukittoという木箱をスピーカーボックスに利用してみました。14cm x 14cm x 15.2cmのキューブ状で、そこそこ板厚もあり、木目もきれいです。そして価格も1個598円と非常にリーズナブルです。これにMDFのバッフル版を前面から取り付けています。実はこの穴あきバッフル版も既製品でこの箱にぴったりハマります。

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バッフル版の固定方法は接着ではなく、スピーカーユニットの固定ネジにねじ切り型のスペーサーを取り付け、4mmの長尺ネジ(12cm)で背面から固定しています。これで組み立て後の分解も可能にしています。

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もう一つ苦手なのが塗装なのですが、同じカインズで売っていた「Kumimoku 筆のいらないステインカラーズ エボニーブラック」を使ってみました。ちょうどこの木箱の塗装用に作られていて、ヤマトのりみたいな感じで筆なしで塗装できます。498円の1本でスピーカーボックス2台分余裕で塗装できました。

ということで、HORATONEの楕円形のラベルをパワポで作って両面テープで貼り付けて完成です。塗装が乾く時間をとっても工作は1日で完了しました。

オーラトーンの本物の価格は1台33,000円ですが、ホーラトーンは1台の部品代概算で、約2500円と1/13以下のお値段となります。

では実際の音はどうなんでしょうか? 単なる主観になりますが結構いい線いってると思います。

やはりとても330円のユニットの音には聴こえない、噂どうりの実力で驚きました

本日8月29日発売の日本唯一のラジオ専門誌「ラジオマニア2023」に、「Chat GPTが教えてくれた〜Philips TEA5767を使用したFMステレオチューナーの製作」という自作記事を書きました。

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この記事のきっかけは、Chat GPTに「DSPラジオチップで音質の良いものはどれでしょうか?」という質問を投げたことから始まりました。Chat GPTからは3つのおすすめチップを紹介され、その中の一つがPhilips社のTEA5767でした。

当方はPhilips社のLHH500というCDプレーヤーをもう30年以上も愛用しています。またPhilipsはクラシックの名門レーベルで、バロック音楽でも数々の高音質でマニアックなリリースを行っています。(レオンハルト、ブリュッヘン、コープマン等々) そんなこともあって当方はPhilips社の製品には特別な思い入れがあり、その「ヨーロピアン・サウンド」ともいえる高品位でまろやかな再生音質の大ファンなのであります。

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そんなPhilips社が開発したFMラジオチップTE5767ですが、今まで全くその存在を知らず、完全にノーマークでした。Philips製というだけで否が応でも期待が高まります。早速調査を開始しその音質と機能を確認するために、FMチューナーを作製してみました。

TE5767はコントローラーからI2C等でコマンド制御するタイプのICで、RFからステレオ・オーディオ出力までを1チップでサポートしています。実はChat GPTの回答では本チップはDSP構成としていましたが、RFからAFの信号処理は全てアナログで行われていました。当方はアナログ構成の方が好みですし、デジタル制御可能なアナログチップということで、むしろ願ったり叶ったりです。

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記事ではハードウェアの作製方法とSeeeduino XIAO SAMD21コントローラーのプログラム(Arduino C++)の解説をしています。最後にDSPタイプの代表格である、Si473xシリーズとの再生音比較を行っています。

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はたして当方が大ファンであるPhilips社製チップのサウンドはいかに? またChat GPTの判断はどうだったのか? 結果はぜひ記事をご覧いただければと思います。

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1月30日に発売された「ラジオ受信バイブル2023」に「心地よいAM・FMサウンドを目指した!〜ICF-P37の基板を使ったアナログ・ホームラジオの製作」という製作記事を書きました。


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現在市販されているラジオはDSPによるデジタル化が進んでおり、旧来のアナログタイプのラジオは消えつつあります。デジタル化により高S/N・低歪み化などスペックの向上も実現でき、無調整で所定の性能が実現できるため大幅なコストダウンが可能になったことが主な要因です。加えてアナログタイプで不可欠なバリコンやIFTなどの可動部品の国内生産が終了して入手困難になったことも大きく影響しています。

ただこのデジタル化により消費電力が増えて、バッテリー駆動のラジオでは稼働時間の低下が問題になってきます。またCDやデジタル配信の時代になってもアナログLPレコードやカセットテープがリバイバルし、いまだに真空管アンプがもてはやされているように、アナログにはデジタルにはない独特の魅力が再生音にあることも事実です。

このような状況の中、SONYが発売したポータブルラジオ:ICF-P37は、現在主流となっているデジタル・DSP構成を採用せず、アナログのSCF(スイッチド・キャパシター・フィルター)による新開発のチップを使用して構成した意欲的な製品となっています。
これにより信号処理は全てアナログですが、上記のバリコンやIFTを使用せず、制御もデジタルで行えかつ消費電力を抑えることにも成功しています。
(ラジオ受信バイブル2022で紹介記事を書いています)
またIFのフィルター帯域を旧来のアナログラジオと同様なシェープとすることで、特にAMでは聞き取りやすいまろやかな音質を実現しています。
そこでこのICF-P37で使用されたラジオICのアナログな特徴をさらに拡張する、新しいタイプのアナログ・ホームラジオを作製してみました。本機は以下のような特徴を持っています。

■ICF-P37の基板をそのまま流用し、新開発チップのSCFによるIFフィルターによるアナログの良さを持った柔らかい良音質を実現。
■スピーカーにFostexのかんすぴ(P650-E)を使用。ホームラジオらしい低音域の豊かな聞きやすく心地よい再生音。
■チューニング用可変抵抗に10:1の減速比を持つ精密型ポテンショメーターを使用。チューニングのしやすさが格段に向上。
■アナログ電流計による見やすい周波数表示を実現。回路はオペアンプを使用しノイズの影響を回避。
■本体には無印良品のモップケースを使用。ドイツ・ブラウン社の名機を模したモダンなデザイン。

デザインの肝となる周波数表示にはアナログ電流計を使用し、オペアンプによる変換回路を実装しています。これにより特にデジタルノイズに弱いAMへの影響なしに見やすい表示を実現しています。

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記事では実際の製作方法の解説と、音質に定評のあるDSP機:ソニーICF-M780Nとの再生音比較を掲載しています。DSP機と一味違うまろやかで聴き心地の良いホームラジオとなっており、非常に気に入っています。

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ラジオマニア2022に書いた自作・製作記事の2本目は、「FMトランスミッタとラズパイ・Volumioで作る高音質自宅FM放送局」です。

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当方はお風呂に入る時に必ずラジオを聞いているのですが、お風呂場は一般的に電波受信状態が悪く、良い状態でラジオを聞くことは難しくなっています。またお風呂に入る時に聞きたい番組がないことも良くあります。

それで室内にFMトランスミッタを置くことを思いつき、使用したのがAitendoで販売しているデジタル制御型のFMトランスミッタ・モジュールです。このモジュールはUSBオーディオデバイスとしてデジタルでPC等に接続可能で、非常に高音質です。そこでラズパイにこのモジュールをUSB接続し、定評ある音楽再生プラットフォームであるVolumioをラズパイにインストールして、WiFI接続でコントロールできるFM放送局にまとめてみました。

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Volumioは各種のデジタル音源の再生機能の他に、全世界のWebラジオを再生できる機能があります。これを利用して、このFM放送局経由で室内のラジオやFMチューナーでそれらを高音質で楽しむことができます。またApple Airplayでの接続も可能で、ラジコの再生も可能です。

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当方は70〜80年代のFMエアチェック・黄金期に作られたFMチューナーを複数台所有していますが、ワイドFMに対応していないので使用用途が限られていました。本機は任意の周波数で送信できるので、高音質なビンテージFMチューナーがその再生機として蘇りました。

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日本はラジオ局の数が他の国に比べて非常に少なく、海外に行った時には羨ましくてしょうがなかったのですが、本機による「新しい周波数」が増えて一気に世界が広がった感があります。例えばBBCを自宅のラジオで聞いていると、まるで現地でそれを聞いているかのような気分になってきます。

本機の詳しい製作方法は記事をご覧ください。

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8月30日に発売された日本唯一のラジオ専門誌「ラジオマニア2022」に記事を2本書きました。1つ目はM5Stackをコントローラに使用したFMステレオラジオの製作記事です。

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過去にM5Stackを使用したラジオを作って記事でも紹介した(ラジオ受信バイブル2019)のですが、受信時のS/Nに若干不満がありました。本機では、シリアル制御タイプのDSPラジオモジュールを使用し、RFノイズ対策をしていないM5Stackのような汎用のコントローラーを使用しても良好なS/Nが得られています。

またオーディオライン出力には15kHzカットオフのLPFを入れて雑音歪率の改善を行い、音質の向上を図っています。

GUIは昔のアナログチューナーのようなスケールや、マッキントッシュ風にブルーにしたシグナルメーターを具備し、ロータリーエンコーダーで選局動作を行います。ソフトウェアはArduino IDE /C++で書かれています。

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外観は以前使用して気に入ったニトリのNOSETE2・ティッシュケースを使用して、ドイツ・ブラウン社のモダンデザインを模したものにしています。

バッテリーにはダイソーで見つけた5000mAh:550円のモバイルバッテリーを使用しています。こちらにはモバイルバッテリーで一般的な低電流時のシャットダウン機能が無く、連続使用が可能になっています。またサイズも小型で、ちょうど本機のケースの後ろにぴったりと納まっています。

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ということで本機は、S/Nの良い良音質、使いやすく見やすいGUIを具備し、感度などのRF性能も良好で、日常的に気楽に使用できるFMステレオラジオになっています。ただ良いことばかりでは無く弱点もあるのでその辺りは記事で説明しています。

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2021年8月に発売された日本唯一のラジオ専門誌、三才ブックス「ラジオマニア2021」に、「食券ボタンで選択する〜券売機型FMラジオ」という製作記事を書きました。
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最近巷ではカプセルトイ、いわゆるガチャガチャが注目され人気が高まっています。非常に精密な模型やフィギア、ミニチュアがラインナップされてきて、大人でもこれにハマる人が急増しています。

そんな中見つけたのが「食券ライトマスコット〜おかわり〜」です。これはラーメン屋や社食などにある「食券・券売機」のボタンを忠実に再現したものです。面白いのは単なるボタンの形の再現だけでなく、白色・赤色の2色のLEDが点灯する機能がある点です。そこで今回はこの食券ボタンの機能をそのまま生かして、これを放送局のプリセット選択に利用した券売機風のFMラジオを作成してみました。
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「食券ライトマスコット」ボタン6個を前面パネルに配置して、券売機っぽい雰囲気を出しています。このボタンにラジオのプリセット・選局の機能を割り当てました。例えば食券ボタンの「カツ丼」を押すとTokyo-FM(80.0MHz)が選局されます。
券売機のお金を入れて選択する動作をグレーのプッシュスイッチで真似ています。これを押すと食券ボタンが全点灯して選択モードになります。ボタンを押すと「売り切れ」の赤色LEDが点灯して他は消灯し、ラジオ局が選局されます。
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本体はニトリのウォールシェルフに実装しています。全体の制御には最近注目されている「ラズパイPico」を使用してみました。食券ボタンの押下検出・LED点灯、OLEDディスプレーへの情報表示、ラジオユニットのリモート制御を行っています。プログラムはArduino IDEのC++を使用しています。ラジオ部分はFMステレオで、スピーカーはダイソーの300円USBスピーカーをモディファイして使用しています。
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今回初めてラズパイPicoを使用してみましたが、GPIOポートが多数利用でき、プログラムの書き込みもPCのUSBから直接行え、550円という低価格で非常に気に入りました。あと本機はバッテリー動作ですが、Picoの電源入力が5.5Vから1.8Vという広い動作範囲を持っており、バッテリー電圧が低下しても動作可能なため非常に使いやすいです。
そしてソフトウェア開発環境で使い慣れたArduino IDEが利用出来る点もポイントが高く、過去のプログラムや幅広いデバイスのライブラリー(例えばOLEDディスプレー)がそのまま利用できます。
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完成した本機ですが、ウッドシェルフのモダンな外観に「カツ丼」「ラーメン」といった食券ボタンのミスマッチが非常に気に入っています。
また「そんなのは嫌だ!」という方は、ボタンのラベルを自分で作って入れ替えれば「正統派バージョン」に変更することもできます。
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記事では食券ボタンのモディファイ方法やハードウェア、ソフトウェアの詳しい作成方法を解説しています。
動作の様子はビデオでご覧いただけます。

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