会報NO.35 発行

日本リュート協会は、会報NO.35(2020年9月号)を発行いたしました。

NewsLetter35

今号は、以下の記事が掲載されています。

・カピローラ リュートブックの序文の翻訳 <渡辺 広孝>
ピッチニーニ序文翻訳に続く、重要文献日本語翻訳企画・第2弾として、カピローラ リュートブック序文の日本語訳を掲載しました。
このカピローラの作品を弟子のヴィダルが写した手稿譜には、5ページ半に渡って序文が書かれており、当時のリュートの奏法や弦、楽器の調整方法などを知る上で非常に貴重な資料となっています。
またカピローラ リュートブックは、それが音楽に関心のない人手に渡っても失われることが無いように、楽譜に非常に美しい挿絵が描かれていることでも知られています。(会報表紙をご参照ください)しかもその作品の素晴らしさから、この初期ルネサンス時代のリュート音楽がいかに高いレベルであったかが良くわかるものとなっています。
今号ではまず翻訳文を掲載し、次号以降順次 序文の詳細解説、カピローラ人物像、5コース→6コース・リュート、プレクトラム→指頭奏法の変遷、イザベラ・デステとロレンツォ・ダ・パヴィア(楽器製作家)の往復書簡など 一層踏み込んだ話題について掲載していく予定です。

・調弦さがし、ダウランドの巻 その2 <蓮見 岳人>
ドイツ在住のリュート奏者 蓮見 岳人氏による、ダウランドが使用した調律に関する興味深いリサーチとその実践に関する解説の第2弾です。
今回は実際にリュート上でこの調律を実現するための具体的な手順と方法について解説しています。また話題はダウランドにとどまらず、ゲルレやミーントーン調律一般にも踏み込んで解説しています。なお次号以降でも調律に関する興味深いトピックが取り上げられる予定です。

・会員投稿企画
    あなたはコロナ緊急事態宣言の自粛期間中、どのように過ごしましたか?
・新譜紹介 <阿矢谷 充/米田 考>
    - Paul Beier “John Dowland ‒ What if a day”
    - ダウランドのリュートソング 最近の複数リリースより
近年ダウランドについては、非常に活発にレコーディングが行われており、ソロとリュートソングの新譜について紹介・解説しています。

・新刊紹介
    金澤正剛『ヨーロッパ音楽の歴史』 <永田 ⻫子>
当協会の会⻑である金澤正剛先生による待望の新刊『ヨーロッパ音楽の歴史』が刊行されました。
リュート奏者で金澤氏の教えを直接受けた、永田 ⻫子氏による充実の紹介記事です。

・ダウランドの番外弦使用状況マトリクス <米田 考>
ダウランドは、若い頃は 6 コースリュートを使用し、7コースを経て晩年は 9 コースを使用したと言われており、作曲した年代によって番外弦の使い方は様々です。本記事ではダウランド全作品(ポールトン全集による)の番外弦使用状況が、一目でわかるマトリクスにまとめられています。

・総会報告
・理事会からのお知らせ
・添付楽譜 <米田 考/佐藤 亜紀子>
    - Silvius Leopold Weiss,  Suite F-Dur(Manuscript Harrachより)
    - 《おうちにいようソング/新しい未来へ》 コマンドゼット