第24回・秋の会員コンサート ご案内

日本リュート協会では、秋の会員コンサートを開催いたします。

開催日:2014年11月9日(日)終了いたしました。多数ご来場いただきありがとうございました。

開演時間:14:00(13:30 開場)

会場:近江楽堂東京オペラシティ内

入場無料
どなたでもお聞きいただけますので、お気軽にお越し下さい。

今回は演奏に加えて、特別講演「9コース・リュートについて」を行います。

■講演概要

 ルネッサンスリュートには、主に弦の数が6コースから7,8,9,10コースのものまで存在しますが、この中で9コースリュートは現代においては最もマイナーな存在で、実際にこの楽器が製作されたり、演奏されることは極めてまれです。
 しかしながら、この9コースリュートは、イギリスルネッサンス当時は非常にポピュラーな楽器であったことは間違いなく、特にあのジョン・ダウランドは、1605年(当時42歳)に出版した「Lachrimae, or Seven Tears」において、この9コースリュートを使用しており、後期における愛用の楽器であったとされています。

例:Lachrimaeにおける、9コースリュートの調弦の説明

 他にもイギリスルネッサンスの非常に重要なリュート曲集である、「Variety of lute lessons (1610 ダウランドの息子が出版)」や「The Lute Book of Lord Herbert of Cherbury(1620-40)」にはオリジナルの9コースリュートのための作品が多数収録されています。
 またダウランドの作品で、初期の6-7コースのために書かれたと思われる作品の中にも、この9コースリュートを使用すると、技術的にも音響的にも非常に効果的に演奏可能な例が見られます。
 本講演では、リュート製作家の渡辺広孝氏が、Variety of lute lessonsの実際の記載を元に作成した9コースリュートについて、当時の資料他を参照しながら解説いたします。またこの楽器を使用して、ダウランド他イギリスの作品の演奏も披露いたします。(9コースリュート演奏は、阿矢谷が担当)

出演者とプログラム

出演者 楽器 作曲者・曲目
宮武 隆 ルネッサンスリュート

John Dowland
・John Dowland’s Galliard (21)
・Fancy (6)
・Mr Dowland’s Midnight(99)
・Fancy (73)
[括弧内の数字はD.Poulton,J.Dowland選集の作品番号]

岡沢 道彦

リュート弾唱

・モーツァルト / アヴェ・ヴェルム・コルプス
(松尾芭蕉の「おくのほそ道」からの五句で)
・ロドリーゴ / 恋のアランフェス
(万葉集 大津皇子と石川郎女の歌で)
・マスネ / タイスの瞑想曲
(源氏物語 光源氏と紫の上の歌で)

宮里安矢

久野幹史

ビウエラ

ビウエラ

・第4旋法のファンタジア:ナルバエス
・ディファレンシアス“牡牛を見張れ”:ナルバエス
・A toy for 2 lutes:トマス・ロビンソン(2nd  久野)

高瀬伸也

辻愛美

リュート

朗読

 詩と詞の朗読 vs リュート演奏

坂本美里

久野幹史

リュート

・楚々として花のように~グリーンスリーブス~  詞:坂本美里 曲:イングランド民謡
・ロンドンデリーの歌 詞:坂本美里 曲:アイルランド民謡
・石畳の踊り子  詞:坂本美里、曲:久野幹史
・月の船~シチリアーナ~ 詞:坂本美里 曲:作者不詳

阿矢谷 充

ルネッサンスリュート

9コースリュートによる、John Dowland演奏
・Solus Cum Sola (P10)
・La Mia Barbara (P95)
・Mignarda (P34)
・Fantasia (P1a)

米田 考

倉又義克

テオルビーノ

テオルボ

によるデュエット

Bellerofonte Castaldi (c. 1580 – 1649)

・Mascherina Canzone (小さな魔女の歌)
久野幹史
&
ホムンクルス

リュート他

ハーディーガーディー他

・中世・ルネサンス舞曲メドレー
・ロバの歌
・シャンソネッタ・テデスカ
・ブルゴーニュのブランル

etc

特別講演

渡辺広孝
(リュート製作家)
演奏:阿矢谷充

「9コース・リュートについて」