イギリスのリュート製作家、Stephen Barber & Sandi Harrisに注文していた、13コース・バロックリュートが完成して、我が家に到着しました。
モデルは、 Johannes Jauck, 1734で、いわゆるジャーマン・テオルボと言われる、リュート族の中でも最も後期に作られたもののコピーです。
ロゼッタはシングルです。シンプルでバランスも良いと思います。
弦のスペーシングは、Robert Bartoの楽器と同じだそうで、ちょっとうれしい。
特徴的なのは、上記写真の3段ペグボックスで、低音番外弦の弦長が段階的に長くなっていきます。
これによって、突然弦長が長くなってテンションのギャップが起こる違和感が無くなります。
指板にはアールが付けられていて、押さえやすいです。(これもBartoが、アールがある方が良いと言っていた)
バックはメイプル(楓)です。私はこういった明るい色合いの方が好みです。
Stephen Barber & Sandi Harrisさんの楽器を購入するのはこれが初めてです。
初めての人に注文するのはリスクがあるのですが、リュート協会の会員の方で、この製作家のルネッサンスリュートを持っている人がいて、弾かせてもらったら良かったので、購入してみました。
(いろんな製作家の楽器の音を聞いたり、触らせてもらったり、意見を聞いたりできるのが、リュート協会の良いとこです)
あと、最初に問い合わせた時、納期が短かったのも決めた理由ですが、結局1年と3ヶ月かかりました。まあこれでも早い方だと思いますが。
(別の製作家の9コースはもう6年になるけど…いまだ完成せず)
そして、今、円高なので、価格的にもメリットを感じたところもあります。
楽器を受け取って、まず、安心したのが、弦高(アクション)とペグがパーフェクトだった点です。
この2点は、ほぼ自分で調整できないので、ここに問題があると非常に苦労します。
ペグとペグボックスは出来が悪いと、いくら石けん、チョーク等を使ってもスムースに調弦できません。そうなるとストレスがたまる一方で結局弾かなくなってしまいます。
音、鳴りや、音色については好みもあるのですが、当方は非常に気に入りました。
爆発的に鳴るという感じではないのですが、高音から低音までバランス良く響きます。
特に高音のハイポジションで、官能的に響くポイントがきちんとあり、弾いてて非常に気持ちが良いです。
ただ、最初に張られていた弦が、PVF(カーボン)で、かつ非常にテンションが高く、速攻で普通のキルシュナーに交換しました。
あのPaul Thomsonの楽器も、送られてきた時はカーボン弦が張ってあったそうで、イギリス人はこういうのが好きなんでしょうか??
弦についてはいろいろトライが必要と思い、ナイルガットやその他を早速発注しました。
ケースは定番のキングハムですが、イギリスの楽器を入れるので、色を「ブリティッシュ・グリーン」にしてみました。
なかなか良い色だと思います。
あと、輸送の梱包はこんな感じでした。
夏の高温下での輸送を心配していましたが、どこにも故障無く、問題ありませんでした。
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