LM3886

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Musical Fidelity A1の中身をLM3886に入れ替えて、発熱の少ないアンプに改造した件を前の記事で紹介しました。
それで、流用していた電源部のコンデンサーの耐圧が不足しているため、新しいものに交換しました。

左:オリジナル 右:交換したコンデンサー

若松通商で4個1000円で売っていた、エルナーのFor Audio 8200μ/35Vに交換しました。
オーディオ用なのに非常にリーズナブルです。
オリジナルより高さがあるので、横に寝かせて両面テープで基板に貼付けました。

入れ替えたA1内部

電源電圧 27Vに対してコンデンサーの耐圧35Vでスペック内に入り、これで安心して使用できます。

A1 LM3886バージョン完成!

Rogers-MacPlus-A1

シャーシを組み立てて、音出し・エージングを行っていますが、LM3886のサウンドは良好です。
あと、Rogers、MacPlusとのデザイン・コンビネーションもとても気に入っています。

中身だけ入れ替えシリーズ第2弾完成

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液晶Mac Plusのオーディオ再生系は、自作の真空管アンプとRogers LS2の組み合わせで使用しています。真空管アンプは発熱がかなりあり、冬は暖かくて良いのですが、夏場は暑苦しくて電源を入れる気がしなくなります。

夏場だけでも半導体アンプに変えたいところですが、当方が持っているのはイギリスのMusical Fidelityという会社のA1というモデルです。Rogersに組み合わせるならイギリス製だろうということで、20年くらい前に購入したものです。

Musical Fidelity A1

このA1は半導体アンプなのですが、真空管アンプでよく使用する「A級」動作をさせているのが特徴で、そのためものすごく発熱します。ケースの天版がヒートシンクを兼ねているのですが、しばらく通電していると手で触れないくらい温度が上昇します。
まあこのA級動作のためか、真空管アンプのようなキャラクターがあるのですが、発熱による「暑苦しさ」もそのままです。

同じ発熱があるのなら真空管アンプの方がいいやということで、このA1はあまり使用しておりませんでした。しかしA1は、MacPlusと同様にそのデザインが非常に魅力的で、処分する気にはなれませんでした。
それならMacPlusと同じように、このA1も中身だけ入れ替えたら面白いかもと思い、Webで色々検索すると、A1の回路図を独自に解析してアップしてくれているMarkさんのサイトを発見しました。

回路図を見ると、入力セレクターの部分は完全にパッシブ構成で、LRのセレクター出力が基板上にジャンパーされていて、簡単にアクセスかつ後段と切り離しできるようになっていました。また電源部は、リップルフィルター用の抵抗を切れば、内部の回路と簡単に分離できることがわかりました。電源部と入力セレクタそしてVRとSP端子だけ利用して、小型のパワーアンプを内蔵すればA1のデザインを生かして組めそうです。

それで、組み込み用のアンプですが、小型ということではICモジュールが考えられます。以前PhilipsのTDA1552QというICで組んだことがあり、まあ悪くなかったのでそれを使おうかと思ったのですが、色々調べると、NSのLM3886というのが非常に評判が良いのがわかりました。電源の仕様もA1のものがそのまま流用でき、非常に小型なのに保護回路等も全て具備されていて申し分ないです。
肝心の音質の方もなかなか評価が高く、なんとJeff Rowlandという超高価格オーディオブランドのパワーアンプ(Model 10 定価1,365,000円!)にこの1個1000円を切る値段のLM3886が使われているのには驚かされました。
まあこれが逆にLM3886の評価を高めることになったようですが。

LM3886を使用したアンプの基板やキットを販売しているところが色々あって、中で横浜ベイサイドネットのものが部品が実装されていて非常にリーズナブルな価格なので注文してみました。(こちら
高級部品を実装したバージョンもあったのですが、価格差がかなりあるので、当方は標準品を購入しました。
早速、実装してみました。

横浜ベイサイドネットのLM3886基板を実装

取りつけはアルミのL型アングルを適当に加工して、A1中央部のU字型のアルミ放熱ブロックに固定しました。パワートランジスタを潔く取り外して、そのねじを使って取りつけました。

A1シャーシ内部

基板をシャーシから取り外すのが面倒だったので、適当に空中配線して音だししてみました。
LM3886、かなり良いです。評価が高いのもうなずけます。真空管アンプとはキャラクターが異なりますが、普通に再生される音楽に引き込まれます。

LM3886を組み込んだA1

まず、気にしていた発熱ですが、まったく問題になりません。
LM3886自体の発熱も少ないのですが、このA1の広大な放熱板シャーシはそれに対して余裕しゃくしゃくで、長時間使用して天板にさわっても「少しあたたかくなったかな?」ぐらいです。
電源部も、もともとA級動作用のものなのでLM3886に対してはかなり余裕があると思います。

オリジナルのA1については、回路図を公開してくれているMarkさんも指摘しているのですが、色々?がつくところがあります。
例えば電源部のコンデンサーの耐圧が、24Vの出力電圧に対して25Vのものが使用されており、本当に大丈夫なのかと思います。
温度も85度のもので、発熱量のすごいA1のシャーシ内に入れるには余裕が無さ過ぎます。
今回のLM3886に対して、電源部はオリジナルのコンデンサーを使用してみたのですが、電源電圧が27Vくらいあるので耐圧を超えてしまいました。オリジナルのA級アンプでは消費電流が大きいのでドロップして24Vになっていたのでしょう。
たしか耐圧の1.25倍くらいは余裕があるはずなのですが、さすがに怖いので交換用の耐圧の高い新しいコンデンサーを発注しました。まあもう20年もたっているので、交換による音質向上も期待できますし。

オリジナルのA1は音量調整VRのガリ(ノイズ)が非常に多くて、VRがダメになったのかと思っていたのですが、なんとVRがオペアンプのフィードバックに入っているのが原因でした。Markさんもこの部分をいれかえるプリアンプを実装していました。今回は普通のVRの使用方法に結線変更して、まったくガリが出なくなりました。
それと、セレクターSWも具合が悪く、接触不良を起こしてノイズが入ります。この部品の入れ替えも推奨されていましたが入手困難なようです。今のところD/Aコンバータ出力の1系統しか使用しないので、TAPEモニターのバイパススイッチ経由のみ使用しています。

このようになにかと悩みどころの多いA1ですが、筐体デザインは非常に素晴らしく、とても魅力的です。
今回の改造で、このデザインを生かして、発熱や上記の気になる点を改善できたので、とても満足しています。
コンデンサーの入れ替えが完了したら、またご紹介できればと思います。

*この改造等は、個人的に行っているもので、これを見て作成され何らかの不具合・故障・事故等が発生しても、当方は一切責任を負いません。あくまでも自己責任で行い下さい。

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