10月 2016

You are currently browsing the monthly archive for 10月 2016.

当方はコーヒーが大好きで、普段は買って来た豆をミルで敷き、ペーパーフィルターのハンドドリップで淹れて飲んでいます。この方法を使えばかなり美味しくコーヒーを淹れる事が出来るのですが、それなりに手間がかかります。
それで簡単にぱっと飲みたい場合は市販の電気コーヒーメーカーを使用します。粉と水をセットして電源スイッチを入れるだけなので手間はかからず、ある程度よい豆を使えばそれなりに美味しく出来るのですが、さすがにハンドドリップで丁寧に淹れた場合に比べると味は劣ると思います。

この味の差を生む要因としては、以下の3つが考えられます。

  1. お湯の温度
  2. 蒸らし時間
  3. お湯の注ぎ方(単位時間あたりのお湯の量や、回しながら等の粉への注ぎ方)

 1、のお湯の温度ですが、ハンドドリップの場合、やかん等で沸騰させたお湯を別のドリップポットに移してから粉に注ぎます。こうする事によってお湯の温度を100度から92〜95度前後に落とす事が出来ます。これは日本茶の場合と同じで、沸騰したてのお湯では温度が高すぎて雑味が出て来てしまうわけです。以下のリンクのページに解説されています。(リンク切れになっていました)
http://www.cupofcoffee.jp/1652/

 2、の蒸らしは非常に重要で、一度粉にお湯をいきわたらせて十分に豆を膨らませます。
こうする事によって豆からのコーヒーエキスが十分に引き出されるようになります。以下のリンクのページに蒸らし時間の重要性がわかりやすく説明されています。https://www.thecoffeeshop.jp/ct_extraction/steaming-time-hand-paper/
https://santos-coffee.net/onayami/coffee-170107.html

 3、の注ぎ方は、どの程度の時間お湯をコーヒーに浸して抽出するかに関係します。一気にどばっと注ぐか、少しずつゆっくり注ぐかによって味が変わってきます。この要素はドリッパーの種類によっても大きく変わってきます。例えば1つ穴のメリタ式は適当にお湯を注いでも、穴が1つでゆっくりお湯が落ちて一定の抽出時間が維持できますが、3つ穴式のカリタや円錐型のコーノやハリオでは、落下速度が速いので、お湯の注ぎ方を自分でコントロールする必要があります。(それだけ自由度があるということになります)
各社ドリッパーの違いをまとめたサイトがあります。
http://seminarbox-note.com/2015/09/13/dripper-hikaku/

 それで、一般的なドリップ式の電気コーヒーメーカーは、スイッチを入れると適当な間隔でお湯がコーヒ粉に注がれるだけなので、上記の1から3のポイントはほとんど何も考慮されていません。以前からこの3つの要素を自由にプログラムできるようなコーヒーメーカーが出来たらいいなと思っていたのですが、同じ事を考える人はいるもので、ハリオ社からすごい製品(Smart7)がリリースされました。
http://smart7.jp/index.html

これは上記3つの要素を自由にプログラムできるという超すぐれもので、やられた!といった感じですが、さすがにお値段もすごく(54,000円!)、簡単に手が出せる代物ではありません。まさにコーヒーメーカーのフェラーリ、ポルシェといったところです。

 そこで市販のコーヒーメーカーに一手間加えて、できるかぎりハンドドリップで淹れた味に近づけるための外部装置をRaspberry piを使って作ってみました。それがこれです。

coffee-t8

左端の青いLEDがUSB Wifiアダプター

この装置は市販の電気コーヒーメーカーのACコンセント部分に取り付けるもので、コーヒーメーカー本体の改造等は一切行いません。コーヒーメーカーの電源のON/OFFだけを時間制御します。
当方はタイガー魔法瓶のACC-A060-Kという製品を組み合わせました。電源をいれるとお湯が注がれるだけの極めてシンプルなもので、お値段も2500円程度と非常にお手頃です。
https://www.tiger.jp/front/productdetail/confirm?productId=ACC-A060

coffee-t6

タイガー魔法瓶のACC-A060に接続

外部装置は写真の黒いボタンで、コーヒーを何カップ淹れるか(2〜6杯)を選択します。液晶にCap数が表示されます。あとは、赤いボタンを押せば通電開始します。
それで、最初に一定量のお湯が注がれると、通電を止めて蒸らしに入ります。蒸らしが終わるとまた通電してお湯が注がれ始めます。

coffee-t2

黒ボタン:Cap数設定、赤ボタン:Start、LEDは赤が動作中点滅、黄色が通電表示

この装置は、以下の3つの時間をカップ数ごとにプログラミング設定できます。

  • 初期お湯投入時間
  • 蒸らし時間
  • 蒸らし後の通電時間

これにより、最初に説明した1〜3の要素のうち、2の蒸らし時間を自由に設定する事が可能になります。

1のお湯の温度の制御は、根本的な機器の作り込みが必要なので、元のコーヒーメーカーのままで何もしていません。このタイガーの製品はシャワー状に注ぐので、熱湯よりは温度が下がっているように思われます。(測っていませんが)

3の抽出時間ですが、このタイガーの製品はメリタと同じ1つ穴タイプのドリッパーを使用しています。そのため落下時間はゆっくりなので、特に制御は行わず、メリタ式と同じ考え方(ある程度適当にお湯を注いでも抽出時間は1つ穴の落下速度で決定される)になります。

coffee-t7

蒸らし中の様子(豆が古くてあんまり膨らんでない。。)

 機器の内部構造は別に詳しく紹介できればと思いますが、Raspberry piはWifiでネットワークに繋がるので、上記の3つの制御時間をPCやスマホ等から変更できます。
これによって好みの味に追い込んだり、豆によって変更したりすることが可能になるわけです。

coffee-t3

Raspberry pi A+を使用し、スイッチサイエンスのユニバーサル基盤上に回路を実装

それでこの装置で淹れたコーヒの実際の味の違いですが、自分で言うのもなんですがなかなかいい線いってます。ハンドドリップに近づいたと思います。ヽ(^o^)丿

詳しい内部構造や、Raspberry piでどのように制御を行っているかは、別のポストでご紹介できればと思います。

Tags: , , ,

2011年頃からmbedマイクロコントローラーにはまって、それを使って気象情報収集や自宅消費電力測定等、いろいろなシステムを作り、このブログでも紹介してきました。その後世の中的には、IOTだなんだと騒がれ初めて、mbed以外にも様々なプラットフォームが出て来たのですが、その中で今最も勢いがあるのがRaspberry Piです。

当初Raspberry Piは、主に教育用を目的に開発されたためか、制御用のIOやそのソフトウェアサポートがあまり充実しておらず、当方は全く魅力を感じませんでした。ところが、IOの数を増やしてCPUパワーを上げた第二世代のmodel B-2が出てから開発が加速して、現在のmodel B-3ではwifi/bluetoothも標準装備され、さらに5$という驚きの低価格のmodel zeroが出て、とても無視出来なくなってきました。それで当方も半年くらい前から本格的にRaspberry piに取り組み始めました。

まず手始めにmbedで作った自宅の消費電力測定システムをRaspberry piを使用して組み替えてみました。

raspi-ep1

Raspberry piに変更したシステム

このシステムは、分電盤に付けた電流センサーのアナログ電圧値をmbedの内蔵A/Dコンバーターで読み取って、webサーバーに結果を送信していました。Raspberry piはA/Dコンバーターを内蔵していないので、MCP3002 2ch 10bit A/Dチップを取り付け、それで電圧を測定します。インターフェースはSPIでRaspberry piと接続します。このICチップは秋月電子で、一個180円(安い!)で売っています。

raspi-ep2

ケース内部 上部にModel A+

raspi-ep3

ブレッドボードにMCP3002 2ch A/D ICを追加

Raspberry piは、一番小型で低価格なmodel A+を使用しました。当方ソフトウェア開発には最新のmodel3を使用しているのですが、今回の用途ではIOとwifiだけで、それほどCPUパワーも必要としないので、A+を使いました。A+はUSBが1ポートあり、これに安価なUSB wifiアダプターを付けています。これを適当な延長ケーブルでケースの外に出して、電波が遮断されないようにしています。

電流センサーの電圧変換回路は前のシステムと同じで、そのまま流用しました。Raspberry pi上のソフトウェアはPythonを使用しています。
約1秒に1回、A/B2系統の電流値を測定して、内部で平均化した値を5分に1回WebサーバーにPOSTしています。Webサーバー側はPHPで書いたスクリプトがPOSTを受け取って、それをテキストファイルに保存しています。グラフ表示はhtml+PHPで作成し、インターネット経由でどこからでも参照できます。

mbedとRaspberry piの詳しい比較は、別のポストで書くつもりですが、このシステムの移行はあっけないくらい簡単に行えました。もうよほどハードウェア要件がシビアでないかぎりは、mbedを使う事は無いと思います。それほどRaspberry piにはまってしまいました。

pi-eplog-y2.php

Webサーバー上に保存された結果のグラフ表示

 

Tags: , ,