1月30日に発売された「ラジオ受信バイブル2023」に「心地よいAM・FMサウンドを目指した!〜ICF-P37の基板を使ったアナログ・ホームラジオの製作」という製作記事を書きました。
現在市販されているラジオはDSPによるデジタル化が進んでおり、旧来のアナログタイプのラジオは消えつつあります。デジタル化により高S/N・低歪み化などスペックの向上も実現でき、無調整で所定の性能が実現できるため大幅なコストダウンが可能になったことが主な要因です。加えてアナログタイプで不可欠なバリコンやIFTなどの可動部品の国内生産が終了して入手困難になったことも大きく影響しています。
ただこのデジタル化により消費電力が増えて、バッテリー駆動のラジオでは稼働時間の低下が問題になってきます。またCDやデジタル配信の時代になってもアナログLPレコードやカセットテープがリバイバルし、いまだに真空管アンプがもてはやされているように、アナログにはデジタルにはない独特の魅力が再生音にあることも事実です。
このような状況の中、SONYが発売したポータブルラジオ:ICF-P37は、現在主流となっているデジタル・DSP構成を採用せず、アナログのSCF(スイッチド・キャパシター・フィルター)による新開発のチップを使用して構成した意欲的な製品となっています。
これにより信号処理は全てアナログですが、上記のバリコンやIFTを使用せず、制御もデジタルで行えかつ消費電力を抑えることにも成功しています。
(ラジオ受信バイブル2022で紹介記事を書いています)
またIFのフィルター帯域を旧来のアナログラジオと同様なシェープとすることで、特にAMでは聞き取りやすいまろやかな音質を実現しています。
そこでこのICF-P37で使用されたラジオICのアナログな特徴をさらに拡張する、新しいタイプのアナログ・ホームラジオを作製してみました。本機は以下のような特徴を持っています。
■ICF-P37の基板をそのまま流用し、新開発チップのSCFによるIFフィルターによるアナログの良さを持った柔らかい良音質を実現。
■スピーカーにFostexのかんすぴ(P650-E)を使用。ホームラジオらしい低音域の豊かな聞きやすく心地よい再生音。
■チューニング用可変抵抗に10:1の減速比を持つ精密型ポテンショメーターを使用。チューニングのしやすさが格段に向上。
■アナログ電流計による見やすい周波数表示を実現。回路はオペアンプを使用しノイズの影響を回避。
■本体には無印良品のモップケースを使用。ドイツ・ブラウン社の名機を模したモダンなデザイン。
デザインの肝となる周波数表示にはアナログ電流計を使用し、オペアンプによる変換回路を実装しています。これにより特にデジタルノイズに弱いAMへの影響なしに見やすい表示を実現しています。
記事では実際の製作方法の解説と、音質に定評のあるDSP機:ソニーICF-M780Nとの再生音比較を掲載しています。DSP機と一味違うまろやかで聴き心地の良いホームラジオとなっており、非常に気に入っています。
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