会報 NO.34 発行

日本リュート協会は、会報NO.34(2020年2月号)を発行いたしました。

NewsLetter34表紙

今号は、以下の記事が掲載されています。

・第一回 国際リュート高等教育カンファレンス レポート
<上田 朝子>
昨年ドイツで行われた、世界初の国際リュート高等教育カンファレンスの模様をハーグ留学中の上田朝子氏がレポートします。世界のトッププレーヤー(オデット、ベイルズ、ノース、リンドベルイなど)や製作家、学生などのリュート関係者が一同に会して熱い議論を繰り広げています。リュート関係者必見・必読です。

・調弦さがし、ダウランドの巻
<蓮見 岳人>
・蓮見岳人氏 オール・ダウランド リュートソロリサイタル レポート
<小出 智子>
ドイツ在住のリュート奏者 蓮見 岳人氏による、ダウランドが使用した調律に関する興味深いリサーチとその実践に関する解説です。
ダウランドはVarietie of Lute Lessonsの中で、自身が使用するリュートのフレッティングについて説明していますが、それはピタゴラス音律に近いもので、3度音程にしわ寄せが出ます。しかしながらダウランドはあえてその響きを作曲に利用したのではないかとの仮定のもと、ソロ作品、リュート歌曲、ガンバコンソートで検証を行いました。その結果は非常に興味深いものとなりました。
なお次号以降でより実践的な解説が加えられる予定で、非常に楽しみです。

・【公演報告】レクチャーコンサート「星空に響く音楽〜ガリレオ・ガリレイが聴いたリュート音楽〜」@千葉市科学館
<永田 ⻫子>
あのガリレオ・ガリレイの家系はリュートに深く関わりがあり、父親(ヴィンチェンツォ)は高名なリュート奏者・理論家で、弟(ミケランジェロ)も宮廷付きリュート奏者として活躍し優れた作品を残しています。本記事はリュート奏者 永田 ⻫子氏が千葉市科学館で行ったガリレイ家とリュートに関するレクチャーコンサートのレポートで、天文学者であるガリレオ自身も生涯にわたりリュートに高い関心を持ち、弾き続けていたかを解説しています。

・野入志津子氏リュート講習会報告
<⻄島 弘>
オランダ在住のリュート奏者 野入志津子氏によるマスタークラスのレポートです。レッスン内容が非常に良く整理され明快にレポートされており、リュート学習者に大いに役立つ内容となっています。

・ルーカス・ヘニング氏初来日 ミニコンサートと谷根千散策
<西野 潤一>
初来日した若手俊英のリュート奏者 ルーカス・ヘニング氏の東京下町散策とミニコンサートのレポートです。
今時の若手リュート奏者の驚愕すべき演奏能力と音楽に対する考え方が良く解る興味深い内容です。

・ベルリン楽器博物館の所蔵リュートについて
<阿矢谷 充/渡辺 広孝>
ベルリン楽器博物館所蔵の興味深いリュートオリジナル楽器について、その写真と製作家:渡辺広孝氏による解説を加えて紹介します。

・第 34 回 秋の会員コンサート報告
・新譜紹介
Paul OʼDette “Albert de Rippe: Works for lute ‘Un perfaict sonneur de Leut’”
Jakob Lindberg “Jan Antonín Losy: Note dʼoro”
Gábor Tokodi “Music for Mandora”

・ピッチニーニのリュート作品の番外弦使用状況マトリクス
<米田 考>
アーチリュートの発明者ピッチニーニのリュート作品は、すべてが14コースのアーチリュートが必要なわけではなく、それより少ないコース数のリュートで弾ける作品が多数あります。「アーチリュートは持っていないけどピッチニーニの曲を弾いてみたい」という方が、ここで掲載される番外弦使用状況マトリックスを見れば、それを見つけるのに大いに役に立つ事うけあいです。

・『ピッチニーニの序文には出てこない、もうひとつの「リュート」について』 記事訂正 <渡辺 広孝>
・理事会からのお知らせ

日本リュート協会では、秋の会員コンサートを開催いたします。

開催日:2019年11月16日(土)

開演時間:14:00(開場 13:30)

会場:近江楽堂東京オペラシティ内

入場無料
どなたでもお聞きいただけますので、お気軽にお越し下さい。

出演者とプログラム (順次更新いたします)

出演者 楽器 作曲者・曲目
宮里 安矢 ビウエラ

・Miguel de Fuenllana
- Tant que vivray

・Luis de Narváez
- Fantasia del quinto tono

山岡 明子 バロックリュート

 ・E.G.Baron
- Bouree
・J.G.Weichenberger
- Chaconne
・Anonymous
- Folies d’ Espagne

米田 考 バロックリュート

 ・Scheidler,

 - Thema de Mozart varie par Scheidler

小嶋 茂

保坂 あゆみ

ルネサンスリュート

コルネット

・John Danyel,
- Grief keep within
- Drop not mine eyes
- Have all our passions 

西島 弘

宮里 安矢

アーチリュート

リコーダー

・Dario Castello
- Sonata Prima

・Benedetto Marcello
- Sonata No.2 (Op.2) 

久野 美穂 ルネサンスリュート

・Francesco da Milano,
- Ricercar(Fantasia)
- Pourqouy allez vous seullette
- Ricercar(“La Compagna”)

松尾 英樹 テオルボ

・G. Kapsberger,
- Toccata Arpeggiata

・R. de Visée,
- Suite A-moll
Prelude, Chaconne

阿矢谷 充 ルネサンスリュート
(9コース)

・John Dowland

- Preludium, P 98
- A Fancy, P 6
- A Dream, P 75
- Farwell, P 3

会報 NO.33 発行

日本リュート協会は、会報NO.33(2019年9月号)を発行いたしました。

NewsLetter33

今号は、以下の記事が掲載されています。

▪️ピッチニーニの序文には出てこない、もうひとつの「リュート」について
<渡辺 広孝>
前号の「ピッチニーニ特集」で予告された、序文に載っていない謎の楽器「第2の試作リュート:Basslautencister(ベース・リュート・シターン)」について、リュート製作家:渡辺広孝氏が、最新の研究成果に基づき解説します。解明の鍵となる、ピッチニーニが主君:アルフォンソ2世・デステに当てたから手紙から「謎の楽器」の実態に迫っていきます。

▪️本当のリュートとテオルボを守るためにーなぜ歴史が重要なのか
ー2018 年5月、英リュートソサエティーのミーティングで行われたレクチャーからー
<マイケル・ロウ、訳:内田 俊彦>
英リュート協会会報に掲載され大変話題になった、超大御所リュート製作家:マイケル・ロウによる「現代のリュート界に対する問題提起」の完全和訳です。
訳は、イギリスでリュート製作を勉強し、マイケル・ロウ本人にも教えを受けた、リュート製作家:内田俊彦氏です。すべてのリュート関係者必読です!

▪️タブラチュアについての認知研究
<小堀 聡>
認知科学を専門とする龍谷大学・小堀聡教授による「タブラチュア譜の記譜法が楽器演奏における認知過程に及ぼす影響に関する研究」について、その成果の一部をリュートの演奏家・愛好家向けに紹介しています。
「五線譜とタブラチュア譜の記譜法の違いが記憶過程や演奏に与える影響」について、実験データを基に考察されます。

▪️産地直送ハーグ便 第4便
<上田 朝子>
オランダ ハーグ王立音楽院に留学中の上田朝子氏による現地レポート第4弾です。
決死の覚悟で向かった学部最終試験。それを無事クリアした者のみがもらえる「何年も欲しかった、超絶ダサい学校のパーカー」を手にすることはできるのか? 果たしてその結果や如何に?

▪️自己紹介

▪️新譜紹介 Vinicius Perez “The Galant Lute”
▪️添付楽譜 シャイトラー作曲「モーツァルトの主題による変奏曲」
<米田 考>
最近、Weiss以降:18 世後半からロココ時代のリュート音楽に注目が集まっています。この分野で特出した録音であるVinicius Perezの新譜を紹介し、その中で取り上げられている、”最後のリュートの名手シャイトラー”による「モーツァルトの主題による変奏曲」の楽譜を掲載しています。この記事と楽譜を書いた米田理事長は、実際にこの曲を演奏し、当協会主催の野入志津子氏によるマスタークラスをこの曲で受講しています。(次の会員コンサートでも聞けるかも?)

▪️総会報告

スイスのバーゼル在住のリュート奏者、坂本龍右氏がゲスト出演するコンサートをご紹介いたします。

ソフィオ・アルモニコが綴る 爛熟のイタリア 〜器楽が彩るディミニューション〜

2019年10月6日(日) 昼公演 開演13:30 夜公演 開演18:00
会場:近江楽堂
出演:ソフィオ・アルモニコ
ルネサンス・フルート 前田りり子・菅きよみ・相川郁子・国枝俊太郎
ゲスト ルネサンス・リュート 坂本龍右

坂本氏は、ソロでチラシ掲載の モリナーロのファンタジア第14番の他に
フランチェスコ・ダ・ミラノのリチェルカーレを何曲かメドレーで演奏予定です。

Sofio omote

Sofio ura

日本リュート協会が後援する演奏会のご案内です。

コンティヌオ・ギルド アウトリーチ第四弾『オスティナートの巻』

【日時】2019年10月20日(日)13時開始、19時頃終了予定
【会場】3F・音楽室 東京都渋谷区千駄ヶ谷2-10-1(JR千駄ヶ谷駅、東京メトロ副都心線・北参道駅)

スイス・バーゼル在住のリュート奏者、坂本龍右氏が主催する、通奏低音組合による参加型の演奏イベントです。
詳細は以下のチラシをご覧の上、ふるってご参加ください。

2019.10.20 コンティヌオ・ギルドアウトリーチ企画3 速報チラシ 表

2019.10.20 コンティヌオ・ギルドアウトリーチ企画3 速報チラシ 裏

オランダ在住で世界各地で活躍中の野入志津子氏の来日に合わせて講習会を開催いたします。

*受講者は枠いっぱいになりましたので、申し込みを締め切ります。
聴講の申し込みは、引き続き、受け付けております。
開始時間が、12:30に変更になりました。


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日時:8月19日(月)12:30 から 18:30ごろまで


会場:スタジオ ピオティータ(最寄駅は、京王線桜上水または井の頭線西永福)東京都杉並区下高井戸4-22-34 03-5316-7161
http://ms-tms.com/studio-piotita/


対象:リュート(属)のソロ、リュート(属)を含むアンサンブル
1組のレッスン時間:1時間(受講者が少ない場合は延長の可能性あり)


受講料:日本リュート協会会員10,000円、非会員12,000円
聴講料:日本リュート協会会員無料、非会員2千円
申込・問合せ:lutesociety@japan.email.ne.jp

講習会ということになってはいますが、特にレクチャーなどを予定しているわけではなく、各受講者のレッスンを聴講者が気楽に見学する、という形です。和気藹々としたリラックスした雰囲気の中で、初心者から上級者まで、それぞれのレベルに応じたきめ細かい指導が受けられます。
また、ソロだけでなく、歌+リュート(属)、旋律楽器+リュート(属)、リュート二重奏といったアンサンブルでの受講も可能です。通奏低音の経験豊富な講師の的確なアドバイスが受けられます。

亀井 仁さんのカウンターテナーとリュートによるコンサートをご案内します。
亀井さんは、ベルギーのブリュージュ在住を拠点にご活躍中の楽器製作家です。

なお、大阪でもコンサートを開催する予定です。

夏のそよ風~歌とリュートの囁き (東京公演)

6月22日(土)/17:00 (開場16:30)

<プログラム(予定)>
ダウランド/涙のパヴァーヌ
カッチーニ/アマリリス、愛しい人よ
J.S.バッハ/我のそばに至り BWV508
パーセル/もし音楽が愛の糧となるならば
【出演】
カウンターテナー、リュート:亀井 仁
【会場】
えびらホール(自由席)
※ご予約された方にのみ、ホールへの行き方の詳細をお伝えいたします。

【価格(前売り)】
¥2,500
※お問い合わせは jin.kamei@gmail.com まで。

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日本リュート協会 後援演奏会のご案内です。

朗読音楽会「ロバのおうじ」(渡辺淳一文学館ドラマティックライヴ)

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20190616ロバのおうじ渡辺淳一文学館チラシ裏web

<日時>2019年6月16日(日)開場13時30分/開演14時
<場所>渡辺淳一文学館

<出演>兎ゆう(朗読)永田斉子(リュート演奏/演出)
◯兎ゆう 公式ブログ https://blog.goo.ne.jp/usagihappy
◯永田斉子公式サイト https://www.seikonagata.com

<料金>前売:2,500円 当日:3,000円  
<チケット販売・申込先>道新プレイガイド、渡辺淳一文学館 tel 011-551-1282

<主催>渡辺淳一文学館 
<後援>札幌市/札幌市教育委員会/株式会社ほるぷ出版/一般社団法人日本朗読検定協会/日本リュート協会

<問い合せ先>渡辺淳一文学館 tel 011-551-1282

<公演についての詳細情報>
https://seikonagata.com/2019/04/02/20190616robalute-watanabejunichi/blog

<内容>
グリム童話を原作とする絵本「ロバのおうじ」は、古楽器リュートを弾くロバの物語です。
朗読音楽会「ロバのおうじ」は、[朗読]X[リュート生演奏]X[映像]というスタイルで物語を体験するイベント。
これまで50回以上の公演を重ねています。古楽器リュートによるルネサンス時代の音楽もたっぷりと堪能できます。
◯朗読音楽会「ロバのおうじ」サイト https://seikonagata.com/projects/robalute

日本リュート協会では、春の会員コンサートを開催いたします。

開催日:2019年4月20日(土)

開演時間:13:15(開場 12:45)

会場:近江楽堂東京オペラシティ内

入場無料
どなたでもお聞きいただけますので、お気軽にお越し下さい。

出演者とプログラム (順次更新いたします)

出演者 楽器 作曲者・曲目

小嶋 茂

保坂あゆみ

リュート

コルネット

La bella man vi stringo/Giulio Caccini/アンサンブル

Corrente Ⅶ/Alessandro Piccinini/リュート・ソロ

Or mio cor dolce/Girolamo Frescobaldi/アンサンブル 

山岡 明子 バロックリュート

・Robert de Visee
- Chaconne

・Anonymous
(from Gottweig Manuscript)
- (untitled)
- Courante

小菅 明子 ルネサンスリュート

・Luis Milan

- Fantasia1
- Fantasia2

米田 考 バロックリュート

・S. L. Weiss
 Tombeau sur la mort de M. Cajetan Baron d’Hartig
(ハルティッヒ男爵カイエタン氏の死を悼むトンボー)

久野 美穂 バロックギター

・Francesco Corbetta

Preludio / Sarabanda / Chiacona

阿矢谷 充 ルネサンスリュート

・John Dowland 後期の作品より

- La Mia Barbara(P95)

- Mr Dowland’s Midnight(P99)

- Pauana Douulant
(1622 Myliusの写本より)

松尾 英樹 バロックリュート

・S.L.Weiss
- Fuge d-mol

・E. Gaultier
- Tombeau de Mezangeau

会報NO.32号 発行

日本リュート協会では、会報NO.32号を発行いたしました。

NewsLetter32

今号は「アレッサンドロ・ピッチニーニ特集号」です。
リュートとキタローネのためのタブラチュア集、第1巻(1623 年)序文の完全和訳を掲載しています。

本和訳は、ピッチニーニ/カプスベルガーによるCDリリースや、ヨーロッパの一流オーケストラ・アンサンブルで通奏低音奏者として活躍する野入志津子氏に監修いただき、野入さんの盟友で歴史的ハープの世界的な権威であるイタリア人〜マーラ・ガラッシ氏の協力を得て、翻訳プロジェクトチームとの共同作業により完成いたしました。
また、ピッチニーニが序文で言及している楽器について、リュート製作家:渡辺広孝氏が、詳細な解説を行っており、非常に充実した内容になっています。

 アレッサンドロ・ピッチニーニ/Alessandro Piccinini (1566-ca.1638)は、フェラーラ大公アルフォンソ 2 世(1533‒1597)に仕えたリュート奏者で、リュートも弾いたヴェノーザ王子ジェズアルド、そしてジュリオ・カッチーニとも親交がありました。
本序文では、それに続く自身のリュート・キタローネ曲集の演奏法に対する詳細な指針を読者に提供しており、右手・左手の使い方、装飾音の弾き方、和音の崩し方といった演奏に関する具体的なポイントについて、非常に詳細に解説しています。

そしてピッチニーニは「アーチリュート」の発明者として、その開発経緯やキタローネその他の当時の楽器についてもこの序文の中で説明しています。
この指針はリュート演奏者のみならず、バロック音楽の研究者にとっても第一級の重要資料です。

 本特集を読めば、
・テオルボとキタローネって何が違うの?同じもの?
・アーチリュートとリュート アッティオルバートは何が違うのか?
といった疑問について、ピッチニーニの視点から見た回答が得られます。

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