会報NO.15号 発行

日本リュート協会では、会報NO.15号を発行いたしました。

【記事内容】

☆インタビュー『今村泰典氏に聞く』……佐藤亜紀子(聞き手)
2008年秋に行われたマスタークラスに合わせてインタビュー。
ヴァイスの新譜CDについて、通奏低音について……などなど大いに語っていただきました。

☆『アメリカリュート協会講習レポート』ほか……渡辺広孝
2008年6月に米国クリーブランドで行われたアメリカリュート協会夏期講習の参加レポートです。ロバート・バルト、ポール・オデットのプライベートレッスンやレクチャーの模様が興味深く綴られています。ここで触れられている「サムアウト奏法」と、いわゆる「変則チューニング」については今後も継続して考察していくとの意向です。

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☆『タブラチュア作製ソフト』前編……阿矢谷充+宮武隆
パソコン上できれいなタブラチュアを作製するソフト(会報の添付楽譜もこれで作っています)についての紹介・解説です。前後編2回に分けて掲載し、今回は Windows対応の「Django」とMac対応の「tab」について紹介します。後編ではもうひとつの定番Winソフト「Fronimo」について触れ、これら3つのソフトの比較検討などを行う予定です。

☆連載第5回『メイス勉強会報告』……佐藤亜紀子+渡辺広孝+倉又義克
前回記事を承けての「よい子は真似しちゃいけない」素人修理編です。大胆にも表面板を剥がして内部を修復、元通り接着するまでのメイスの記述について、渡辺・奥清秀両製作家による現場からの突っ込みを交えて考察します。渡辺工房にて撮影した再現画像(?)付き拡大版です。

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☆『リュートによる即興演奏と朗読との共同作業について』……高瀬伸也
会員コンサートで異彩を放っていた「朗読と即興演奏」、あの謎のコンビの高瀬さんが会報初登場です。あるときは旋法、またあるときは無調の領域から出撃、語られる言葉の数々を「迎撃」するフシギな即興の世界。フリージャズを経験し、インド音楽も修業した氏が何ゆえリュートで即興を試みるのか。もしかするとディミニューションや通奏低音に取り組んでいる方々の参考になるやもしれぬ、即興の具体的なやり方についても語ります。

☆連載第3回『研究ノート ビウエラ研究』……小川伊作
今回はスペイン外のビウエラについて考察します。またその影響が今日にまで残った実例として、今後いくつかの民族楽器にも触れる予定です。

☆『バロックリュートで通奏低音にトライ!(導入編)』……佐藤亜紀子
バロックリュートで通奏低音をする人はあまり多くはないのですが、実は非常に使い勝手が良いといわれるのがニ短調調弦。自由自在なコンティヌオで知られる今村泰典氏もこの調弦の使い手です。通奏低音を、もっと多くの人にトライしてもらいたい! そんなわけで、ソロを弾く上でも学んでおいて損はない、通奏低音の実践的アプローチを佐藤亜紀子さんが解説します。
譜例豊富なお役立ち記事です。

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☆新譜CD紹介……米田考
アンソニー・ベイルズ演奏による「新しい調弦法」作品を収録したCDを紹介。いわゆる「変則チューニング」でしかもメイスが入っている! まるで会報読者の参考書のようなCDですね。

《添付楽譜》
■メヌエット(BWV Anh.114&115)、プレリュード(BWV846)
『アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳』より二つのメヌエット、および『平均律クラヴィーア曲集』第1巻第1番よりプレリュード。いずれも皆さんよくご存知の佳品を、佐藤亜紀子さんによるバロックリュート編曲にてお届けします。

■Il bianco dolce cigno( アルカデルト、「フェンリャーナ曲集に掲載」)
アルカデルトの有名な合唱曲のビウエラ伴奏歌曲版です。フェンリャーナの曲集に入っています。歌パート五線譜+スペイン式タブラチュアの形でお届けしますが、実はビウエラパートのタブ譜面に歌の声部も含まれているので、単純にソロ曲としても楽しめます。
小川伊作氏提供。