会報NO.32号 発行

日本リュート協会では、会報NO.32号を発行いたしました。

NewsLetter32

今号は「アレッサンドロ・ピッチニーニ特集号」です。
リュートとキタローネのためのタブラチュア集、第1巻(1623 年)序文の完全和訳を掲載しています。

本和訳は、ピッチニーニ/カプスベルガーによるCDリリースや、ヨーロッパの一流オーケストラ・アンサンブルで通奏低音奏者として活躍する野入志津子氏に監修いただき、野入さんの盟友で歴史的ハープの世界的な権威であるイタリア人〜マーラ・ガラッシ氏の協力を得て、翻訳プロジェクトチームとの共同作業により完成いたしました。
また、ピッチニーニが序文で言及している楽器について、リュート製作家:渡辺広孝氏が、詳細な解説を行っており、非常に充実した内容になっています。

 アレッサンドロ・ピッチニーニ/Alessandro Piccinini (1566-ca.1638)は、フェラーラ大公アルフォンソ 2 世(1533‒1597)に仕えたリュート奏者で、リュートも弾いたヴェノーザ王子ジェズアルド、そしてジュリオ・カッチーニとも親交がありました。
本序文では、それに続く自身のリュート・キタローネ曲集の演奏法に対する詳細な指針を読者に提供しており、右手・左手の使い方、装飾音の弾き方、和音の崩し方といった演奏に関する具体的なポイントについて、非常に詳細に解説しています。

そしてピッチニーニは「アーチリュート」の発明者として、その開発経緯やキタローネその他の当時の楽器についてもこの序文の中で説明しています。
この指針はリュート演奏者のみならず、バロック音楽の研究者にとっても第一級の重要資料です。

 本特集を読めば、
・テオルボとキタローネって何が違うの?同じもの?
・アーチリュートとリュート アッティオルバートは何が違うのか?
といった疑問について、ピッチニーニの視点から見た回答が得られます。